脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症とは?
脊柱管狭窄症は、背骨内の神経が通る「脊柱管」が首や腰の部分で狭くなり、神経が圧迫されて発生する疾患です。腰で起こると、腰痛や下半身のしびれ・痛みが生じます。
腰痛だけでなく、足や足の裏に激しい痛みが走るなど、症状は人によって異なります。数百メートル歩くと痛みが強くなりますが、休憩すると痛みが和らぐのが特徴です。さらに、直腸や膀胱の神経が影響を受けると、排尿や排便が困難になることもあります。
脊柱管狭窄症の原因
脊柱管狭窄症の原因について詳しく見ていきましょう。
加齢
年齢とともに椎間板(ついかんばん)は水分を失い、弾力性が低下します。これにより椎間板が薄くなったり、変性したりすることで、脊柱管が狭くなる原因となります。また、脊椎の関節や椎間板の変性に伴い、骨の表面に小さな骨棘が形成されることがあります。これらの骨棘が脊柱管内を占拠し、神経を圧迫することで狭窄を引き起こします。
さらに、脊柱を支持する靭帯(じんたい)が年齢とともに肥厚し、硬くなることがあります。特に後縦靭帯(こうじゅうじんたい)の肥厚は、脊柱管を狭める要因となります。
炎症性疾患や感染症
関節リウマチなどの炎症性疾患は、脊椎の関節に炎症を引き起こし、骨棘の形成や靭帯の肥厚を促進することで脊柱管狭窄症の原因となることがあります。また、脊椎や脊柱管内の感染症(例えば、脊椎炎や椎間板炎)が炎症や腫脹を引き起こし、脊柱管の狭窄をもたらすことがあります。
他にも脊柱管内または周囲に腫瘍が発生すると、脊柱管を圧迫し狭窄を引き起こす可能性があります。
外傷
交通事故や転倒などによる脊椎の骨折や脱臼が脊柱管の形状を変化させ、狭窄を引き起こすことがあります。また、脊椎手術後に瘢痕組織が形成され、それが脊柱管を狭める場合もあります。
部位別の原因
頚部脊柱管狭窄症
頚椎(けいつい)部分での狭窄は、椎間板の変性や骨棘の形成、椎間関節の変性などが原因となります。頚部の脊柱管狭窄は、手や腕に痛みやしびれを引き起こすことが多いです。
腰部脊柱管狭窄症
腰椎(ようつい)部分での狭窄は、加齢による椎間板の変性、骨棘の形成、靭帯の肥厚が主な原因です。腰部の狭窄は、脚に痛みやしびれを伴う「坐骨神経痛」などの症状を引き起こすことが多いです。
その他の原因
一部の人々は生まれつき脊柱管が狭い構造を持っており、加齢や外傷によってその狭さが悪化することで脊柱管狭窄症を発症しやすくなります。また、家族に脊柱管狭窄症の人がいる場合、遺伝的にこの疾患を発症リスクが高まることがあります。
さらに、長時間の座位や特定の姿勢が続くことで脊椎に負担がかかり、脊柱管狭窄症のリスクが高まることがあります。
脊柱管狭窄症の症状
脊柱管狭窄症の症状について詳しく見ていきましょう。
痛みやしびれ
脊柱管が狭くなることで神経が圧迫され、痛みが生じます。頚部脊柱管狭窄症では首から肩、腕にかけての痛みや不快感、腰部脊柱管狭窄症では腰から臀部、脚にかけての痛みが現れることが多いです。特に活動時に症状が増悪することがあります。
神経の圧迫により、しびれやチクチクする感覚、感覚鈍麻(かんかくどんま)が生じます。頚部では手や指先、腰部では足や指先にしびれをかんじることがあります。
筋力
神経が圧迫されることで、筋力が低下し、動作が困難になることがあります。頚部の場合は腕や手、腰部の場合は脚や足の筋力が低下することがあります。
筋力低下や痛みにより、歩行が困難になったりすることがあります。また歩行距離が短くなったり、歩行速度が遅くなることがあります。
部位別の症状
脊柱管狭窄症による神経症状は多岐にわたり、個人差があります。症状の出方や程度は、狭窄の程度や位置、個々の神経構造によって異なります。
頚部脊柱管狭窄症
頚椎部分の狭窄により、上半身や下肢に症状が現れます。
主に持続的な首の痛みやこわばりの症状を発症することが多いです。また腕や手の 痛み、しびれ、筋力低下、特に片側のみで現れることもあります。さらに神経圧迫によりめまいを感じたり、歩行時のバランスが取りにくくなることがあります。
腰部脊柱管狭窄症
腰椎部分の狭窄により、下半身に症状が現れます。
主に持続的な腰の痛みやこりの症状を発症することが多いです。歩行中や立っているときに脚に痛みが走り、座ると痛みが軽減することが多いです。
また歩行時の筋力低下や、 つま先を上げる動作が困難になる、 脚や足のしびれなどを発症することがあります。
胸部脊柱管狭窄症
稀ですが、胸椎部分の狭窄により、上半身や下半身に症状が現れることがあります。
主に持続的な痛みや違和感を発症することが多いです。また腹部にしびれや感覚異常が現れることもあります。腰部と同様に、脚に痛みやしびれが生じることがあります。
その他の症状
持続的な痛みや不快感により、日常生活での疲労感が増すことがあります。痛みを避けるために不自然な姿勢を取ることで、他の部位にも負担がかかり、二次的な症状が現れることもあります。また夜間に痛みやしびれが悪化することで、睡眠を妨げることがあります。
さらに神経圧迫が進行すると、膀胱や腸の機能に影響を及ぼし、排尿困難や失禁、排便障害が生じることがあります。
脊柱管狭窄症は進行性の疾患であり、症状が進行することがあります。
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